犬と少年と宇宙探偵

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ーーやべぇ、やべぇ、やべぇ!話題が出てこねぇ!! てか多分今、俺、顔真っ赤なんだろうなぁ、バレてないかな? 好きな女子と一緒に帰るとか、数分前までは考えもしなかったシチュエーションだ。喋ることが何も思い付かんし、正直俺は冬咲の横顔見ていられるだけでも満足だ。 ただ“帰る”と言っても冬咲は電車で登下校しているから駅まで送るだけだし、まず、駅は俺の家と全く反対方向だ。 でもまぁ、こんなチャンスを見逃すようなバカな真似はしないよ。 「ねぇ、瞬君」 「は、はい!」 駄目だ……完全に不自然だよ、俺……。 ちらっと顔を伺うと、凄い真剣な顔をしている。浮かれていたのが引いていく。 俺が見る限り、冬咲は表情豊かで、いっつも笑顔でいる。 そんな冬咲にも悩みがあるんだろうか? 「10円あったら、10円ガムか5円チョコ2つのどっちを買う?」 「何?金欠なの?」 おい、真面目に考えてた時間を返せ。
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