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「君、名前は?」
「へ!?」
「青色のタイをしてるって事は、一年生だね」
「は、はい!一年の相川です」
「相川さん、遅刻寸前なんだよ。急がなくちゃ。早く」
「あ、先輩っ」
先輩は、引き返して来て、私の手を取ると、さっきと違って、速度を緩めて、坂道を歩き出した。
「今日は急用が入ってしまってね。遅刻覚悟だったんだが、丁度、駅前にバスが来たから、何とか、遅刻は免れそうだ。歩みを止めなければだが」
「えっと、はい……あの、手が……」
「あ、悪い。突然、手を掴んだりして。気持ち悪かったよな?」
「いえ、そんな事は……」
ただ、私の心臓が爆発しそうに、ドキドキのカウントが早くて、苦しくなってきたから――――。
「そうか?では、前に進もう。立ち止まっていると、監視カメラをチェックしいてる、警備員がすっ飛んで来るぞ」
「ええっ!?警備員さんが?」
「そうだ。あそこの外灯の近くにある」
桜並木をよく見ながら歩く。確かに、転々とカメラがあった。
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