トケイ

8/12
前へ
/12ページ
次へ
「おまえ、なにがほしい?」 「なんでもいいよ」 僕は興味がないような顔で答えた。 そんな顔をみた兄が、その返答を待っていたかのように 「じゃあ、俺が決めるからな!これどうだ!」 兄が僕に腕を出してきた。その腕には、黒く、かなりシンプルな腕時計があった。 「お前も腕時計ほしいだろ。」 兄は嬉しそうな顔で言ってきた。 「じゃあそれでいいよ」 「それでなく、それがだろ」 「それで!!!」 僕はめんどくさそうな顔で言い返した。 しかし、それにしても何にも特徴のない、いや特徴がないことが特徴な腕時計だった。 「兄貴、それどこで買ったんだ?」 「今から行くところだ。ほら、ここで降りるぞ」 兄が降りるといった場所は、都会な場所ではなく、ただの田舎にありそうな商店街のバス停だった。 こんな場所で買ったのかよ。。僕はそう思いながら、兄についていった。 しかし、兄が向かった場所は、その商店街でもなく、離れた場所にある小さな店だった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加