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「おまえ、なにがほしい?」
「なんでもいいよ」
僕は興味がないような顔で答えた。
そんな顔をみた兄が、その返答を待っていたかのように
「じゃあ、俺が決めるからな!これどうだ!」
兄が僕に腕を出してきた。その腕には、黒く、かなりシンプルな腕時計があった。
「お前も腕時計ほしいだろ。」
兄は嬉しそうな顔で言ってきた。
「じゃあそれでいいよ」
「それでなく、それがだろ」
「それで!!!」
僕はめんどくさそうな顔で言い返した。
しかし、それにしても何にも特徴のない、いや特徴がないことが特徴な腕時計だった。
「兄貴、それどこで買ったんだ?」
「今から行くところだ。ほら、ここで降りるぞ」
兄が降りるといった場所は、都会な場所ではなく、ただの田舎にありそうな商店街のバス停だった。
こんな場所で買ったのかよ。。僕はそう思いながら、兄についていった。
しかし、兄が向かった場所は、その商店街でもなく、離れた場所にある小さな店だった。
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