ささやく電話

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彼女の本当の名前は 【レイコ】 レイコをどう描くのか、苗字も聞いたような気がするけど記憶には残っていない。 もっと言えば、レイコが本名なのかさえも怪しいところだ。 レイコの他にはマリエと名前も登録してない奴。 俺って最低だ。 …いや、そうでもねえか。 …今までは。 ただ… 今からは最低になり得る。 俺は手のひらで震え続ける携帯を見つめ、そしてそのままソファに転がした。 なかなか止まない振動は、一度途切れると再び間を置かずに細かく動き出した。 俺は無視を決め込んでいたが、ふと思い直す。 はっきり断ってやった方がコイツのためか。 俺は無意味な上から目線で携帯を手にして通話ボタンを押して耳に当てた。 「…もしもし」 『もしもし?何してたのよ?遅い!』 「遅いってなんだよ?もう一時だろ?普通の人間なら寝てる時間だ。そういうの、非常識って言うんだよ」 『何言っちゃってんの?常識とか非常識とか、私たちに関係あるの?』 「うるせえな。用件はなんなんだよ?こんな時間に…」 『用件って、今日の直人、変なこと言うね。用件て言ったら一つでしょ?直人がそろそろ寂しがってると思って電話してあげたのに』 「はあ?」 『だって、もう3週間してないじゃん。あ、もしかして他の子としてた?アハハ、浮気者~』
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