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玄関に入ると
青いヒールと茶色の革靴が綺麗に並べ
られていて、私は躊躇することなく
玄関を上がった。
案の定部屋では…
キシキシ…
「た、たつやぁ…好き。」
「さとみ…俺も好きだよ。」
二人の情事の会話を聞いた私は
急激に冷めた。
〃里美…俺も好きだよ。〃
勘違いしてた。
私まだ達也に愛されてると…
これから結婚して
二人で幸せになれると
浮かれていた…
ガチャ
私はリビングの扉を開けた。
リビングから達也の寝室は吹き抜けで
物音がよく聞こえる。
「だ、誰だ。」
達也がそう放った。
沙羅『資料…ファイル忘れて取りに来ただけだから。』
その声は思った以上に冷めていた。
達也「さ、沙羅?」
「え?」
達也の下に居た女が驚いていた。
私はテーブルにそのままにされていた
ファイルを手に取り、
鞄に詰め、踵を返し玄関に
向かった。
達也「沙羅!」
達也は私を引き留めた。
けど、もう…
沙羅『さよなら。』
私は達也を見ずに玄関を出た。
パタン…
私は達也からもらった
婚約指輪を薬指から外し、
鞄の中に何時も入れていた
リングケースに指輪を仕舞い
アパートの郵便受けに入れた。
カタン…
これでほんとにさよなら。
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