三年目の、

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  マンションの鍵穴にキーを差し込むと、癒やしてくれる布団の感覚が蘇って身体がずしりと重くなる。 もう休息スイッチが入ってしまったようだ。 身体がベッドを求めている。 だがそれはマンションの扉を開けた瞬間に飛び込んできた、いつもと違う感覚により消え去った。 「……カレー?」 部屋にはカレーの匂いが充満していた。 誰か来ているのかと思った。 何故なら、悠也は料理の類が一切出来ない。 もしかして悠也の「良い人」なんかが現れて、私がいない間に彼の為に作ったのかもしれない。 佳奈は慌てて足元を確認するが、悠也の靴以外はなさそうだ。 …良かった。 修羅場とか勘弁だし。 そのまま恐る恐るキッチンへ入ると、コトコトと小さく揺れる大鍋と刻まれた野菜で散らかる床が目に入った。 背後の物音に振り向くと髪を拭きながらお風呂場から出て来た悠也と目が合う。 「おかえり。今日も遅かったね」 「…え、コレ、どうしたの?自分で作ったの?」 「うん。たまには」 悠也は「ただいま」すら言わない佳奈の横をすり抜けると冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、コップに注いだ。  
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