三年目の、

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  「ねぇ、どうしたの?」 「何が?」 「もしかして私を待ってた?」 「うん」 やはり、と佳奈は身構えた。 黙々とカレーを食べる悠也を盗み見る。 お風呂上がりの茶色がかったサラサラの髪。 尖った顎。色白の腕。 イケメン、と言うより綺麗な顔をしていた。 でもその顔より、のんびりとした雰囲気が好きだったな、と佳奈は感傷に浸る。 佳奈はいつかやってくるこの日を覚悟していた。 彼に愛想を尽かされる日を。 だって逆の立場だったら絶対嫌だもん、こんな仕事女。 しょうがない、とは思っていても、やはり時が来れば覚悟は揺らいでしまう。 悠也は速いペースで細い身体にカレーを掻き込んでいく。 さぞかしお腹が空いていたんだろう。 「話ならちゃんと聞くから食べてて良かったのに」 悠也の良く動くスプーンを眺めながら言うと、悠也が顔を上げて佳奈を見た。 「今日、カレーの日なんだって」 「え?」 「一月二十二日。…カレーの日らしいよ」 「……」 絡まり合っていた視線が外れると、悠也は再びスプーンを動かした。 それを見ながら、私もやっと口に運ぶ。 久し振りに食べる家庭のカレーの味が優しく広がった。 日にちを言われて思い出す。 今日、一月二十二日は ――私の誕生日だ。  
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