第1話・雨の日の出逢い

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どんよりとした雲に覆われた空から雨が降り、俺が持つビニール傘の表面を濡らす。 「あ~あ、雨は嫌いだ」 カバンも靴も濡れるし、靴下に染みる可能性もあるし…。 憂鬱だわぁ……鬱病発症しそう。 地面に溜まる薄い水たまりを踏みながら、先日まで桜が満開だった通学路を通っていく。 まぁ、桜はこの雨でだいぶ散ってるけどな。ご愁傷様ですわ。 どーでもいいけど、俺は桜の木の下を通るのは好きじゃない。 だって毛虫キモいし。悠長に花見してるヤツらの気が知れんな。 「――っと、学校……かぁ…」 嫌じゃないんだが………面倒だよなぁ、特に…。 「あっ、立樹おはよう!」 こいつがさ。 こいつの名前は、檜山 蓮(レン)。成績優秀、品性優秀、イケメン。 イケメン。とにかくイケメン。 どこのノベルゲーだと怒鳴りたいほどのイケメンだ。
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