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その翌日、生野はいつも通り朝から課外をこなし、昼食を校内の食堂で済ませ、生徒会室に来た。そこには瀧本ただ1人が座って、パソコンに向かって作業をしていた。
「ちぃーっす」
生野が瀧本に向かって挨拶をすると、瀧本も振り返って挨拶をした。
「あ、カイチョー。課外お疲れさま」
「ども。瀧本さんも作業おつでっす」
「どうもどうも。ところでカイチョー、数学で分からないところがあるんだけど……」
「仕事はもう済んだとな?」
「そうね、それはもうちょっとで一段落つくから……っと、これで終わり。それでね、この問題なんだけど」
「ん? どこね?」……
こうして瀧本が分からないと言っていた数学の問題を生野が教えたりしているうちに、時計の針は夕方の5時を指していた。残り30分で生徒が完全下校する時間だ。
生野から得た知識を元に問題と対峙している瀧本に、生野は声をかけた。
「瀧本さん、あと30分で完全下校やけん、そろそろ学校出らん?」
すると瀧本はハッとした様子ですぐに時計に目を遣りながら、
「あっ、もうそんな時間なの? それならそろそろ行こっか♪」
生野は文末のテンションの高さに疑問を抱いたが、あえて気に留めないことにした。
それからは何も深読みすることなく、2人とも荷物をまとめに入った。
ファイルなどの荷物をまとめた生野は、外に目を遣った。
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