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空一面に張られた黒いカーテンから、砂糖のように真っ白な雪がパラパラと降っていた。
「カイチョー、準備終わったよ」
瀧本の声が響き、2人は生徒会室を出た。
下足置き場で靴を履き替え、校門をくぐり、香椎駅に入った。
駅ビル2階の100円ショップを過ぎた辺りで、ふと瀧本が口を開いた。
「あのさ……、カイチョー」
「なんな?」
「あのさ……、さっきの数学の問題、博多駅でもうちょっと詳しく教えて」
「ん、分かった」
それを最後に博多駅まで会話が生まれなかった。だが途中の電車の中で、瀧本が急に、また軽く、前日に引き続いて生野の腕に絡みついた。
さて、いよいよ電車が博多駅に着いた。
ホームに降り立ち、すぐ左にある階段を降りて改札を通り、博多バスターミナルの中にあるマクドナルドに入った。
この間ずっと、いや注文の列に並んでいる今も、瀧本は生野の腕に絡みついたままでいる。
ようやく2人の順番が来た。店員がサンタ風の衣装を着て快活に注文を受ける。
「いらっしゃいませー。店内でお召し上がりですか?」
生野が受け答える。
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