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「聞こえません。もう一度最初から言ってください」
瀧本がいち早く反応し、言い直しを求める。それに対し、少し怖じ気づいた委員長はゆっくり訂正する。
「は、はいっ、特に今年は清掃活動に生徒の皆さんが積極的に参加してくれて……」
次はこの総会を締める生徒会三役が発表をする順番である。しかも代表で生野が発表せねばならない。
整美委員長の発表が終わり、生野がやれやれといった具合に発表しようとする所に、瀧本の横槍が入った。
「総務からは、私が報告します」
発表の仕事を横取りされた生野は何とも言えないわだかまりを覚えながら、瀧本の発表に耳を傾けることにした。
すると瀧本は滞りなく発表を終え、こう続けた。
「それでは最後に、生徒会会長から一言お願いします」
無茶なアドリブに戸惑いながら生野はその場に立ち、言葉を選んで話し始める。
「えぇ~、皆さん今年1年お疲れ様で」
「聞こえません、もう一度最初からお願いします」
瀧本の鋭く冷たい一声が入り、生野は言い直した。
「えぇ~、皆さん今年1年お疲れ様でした……」
しどろもどろながら発表を終えた生野は、総会の一同からパラパラと拍手を浴びた。
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