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生野が安堵の息を洩らしながら席に就くと、瀧本の側から〝ごめんね″という声が不確かに聞こえた。しかし、生野は空耳と決め込み、気にしないことに決めた。
生野が瀧本の声を気にしないと決め込む間に、藤野が教諭としての総括を終え、総会はお開きとなった。
他の委員長たちが席を立ち帰宅の途に就く中、三役も隣の生徒会室に戻ることにした。生野が席を立ったのが早いか、田浦が資料を揃えながら提案してきた。
「なぁ2人とも、今夜3人でうどんの小麦冶に行かないか。最近新しく出来たらしくてな、うどんが美味いと評判がある。どうだ?」
それを受けて生野が瀧本の顔を見やると、瀧本は満面の笑みで頷く。この瞬間に小麦冶に3人で行くことが決定し、生野は自らの意見の重要性を自嘲した。
しかし、瀧本の頬は心なしか少し赤かったように見えた。
そういう経緯で3人は小麦冶に行くことを決め、生徒会室に戻っていった。
生徒会室に到着し、3人はそれぞれの場所に戻った。
部屋の中央に設置してある大きめの机に面した特等席に生野が座るやいなや、田浦の驚くような声が響いた。
「えぇ!?」
「何ね田浦、驚いたような声出してから」
「そうよM宅くん、落ち着いて仕事納めが出来ないじゃん」
瀧本も窓に面した座席から田浦に応じた。
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