我ら樫井生徒会っ!!

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 そんな事は気にしないという風な勢いで、田浦は驚いた理由を説明し始めた。 「いやはや、新しいモデルガンの商品が発売されているのだ」  田浦の興奮ぶりを聞き流しながら、生野は田浦が軍隊マニアであることを思い出していた。また、その興味が幅広くもあった。 「ほらほら、この1850年代のドイツ軍服なんかもイカすじゃないか」  ここで、そんな雑誌を学校に持ち込んで良いのかと思われるかもしれないが、生野は生徒会長に当選した時に掲げていたマニフェストの通り、このような趣味の雑誌などは持ち込んで良いという風に校則を変えていたのだ。なので、三役である田浦もこのように堂々と雑誌を持ち込んでいる。  生野が田浦の興奮ぶりを聞き流して窓越しに外を見ると、粉雪がちらちらと降っているのが見えた。 「……そげな軍服談義は良かとしてたいな、田浦、瀧本さん、雪が降りよるよ」  作業を中断し、生野の言葉にいち早く反応したのは瀧本だった。 「ホントだ。ロマンチックな雪。久しぶりに見た気がする」  熱い軍服談義を止め、窓に目を遣りながら、田浦も瀧本に賛同していた。 「本当だな。そう言えば、この時期は博多駅のイルミネーションが美しいらしいな」 「ほぅ……」  生野は窓枠のスノードームの中に降る雪を見ながら、田浦に適当な相槌を打っておいた。  しかし、瀧本が窓の縁に両肘をついて両手で顔を抱えて照れているのは何故だか分からなかった。どうやら、〝あの人がアレして″やら〝キャー″やらと言って一人で照れている。それが生野および田浦には不可解だった。
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