我ら樫井生徒会っ!!

8/13

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 冗談めいた生野の思惑とは別に、何かいたたまれなくなったのだろうか、瀧本は席を立ち、水を取りに行った。  瀧本が立つのが早いか、田浦が身を乗り出して生野に話しかけた。 「なぁカイチョー」 「なんや」 「唐突な話ではあるが」 「なんや田浦、唐突でも凹凸でもなんでもよかくさ」 「実のところを言うとだな、俺は瀧本さんに片想いをしている」 「凹凸とかじゃなくて本当に唐突やね」 「まだそれを引きずるのか。……まぁそれは良いとしてだ。俺は瀧本さんに片想いをしている」 「それは分かっとる。やけど、どこに惚れたん?」 「彼女のな、〝デキル女″って所に惚れたのだ」 「そうや。俺はそんなに思い入れないけど」 「俺から見れば、瀧本さんが隣に座っているお前は羨望の眼差しで見るに値する」 「そうや。じゃあ、この時間を楽しませてもらうわ」  生野がそう言い終えるくらいの頃に、水の入ったグラスを3つ抱えて満面の笑みをたたえた瀧本が戻ってきた。瀧本は店員のように快活に振る舞う。 「お冷やお持ちしました~」  そう言って生野と田浦の前に水の入ったグラスを置く瀧本。  しかし……、どこか可愛いわいな。  そんな瀧本の姿に、生野の心はじんわりと、またゆっくりと暖まっていた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加