最近思う事

4/23
前へ
/25ページ
次へ
 1つの村を焼いた漆黒龍は大空を楽しそうに舞う。  生かした人間は私怨によって強く成るか、はたまた強い人間を向かわせて来るのか、漆黒龍に取ってはどっちでもいい事だ。  この漆黒龍が思う事はただ1つ、『良い感じに面白く成らないかな?』それだけだ。  そこには村1つ滅ぼした罪の意識も罪悪感も無い。この退屈を嫌う龍は面白くする為ならなんだってする。  何故なら魔物だから。人間に害為す存在だから。  漆黒龍は笑いながら1つの街の上空を旋回する。  下を見れば漆黒龍を見つけた人間からその衝撃は伝播し、瞬く間に龍が来たと街全体に伝わる。  これでこの近くに漆黒龍が居る事は伝わった。後は村で食って寝ていれば人間が勝手に集い、漆黒龍を討伐せんとやって来る。  漆黒龍は方向を変える。先程焼いた村へと戻る。  村には潰れた肉塊と丸焦げに成った死体。焼け落ちた家に崩れた建物だった物、そして未だ暢気に餌を貪っている家畜達だけしか残っていない。  漆黒龍は元村の中心に降り立ち、翼を畳んで丸くなる。 「さてさて、強くて面白い人間は来るかな~っと」  楽しげに尻尾を動かす。欠伸を1つ溢して目を瞑る。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加