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1つの村を焼いた漆黒龍は大空を楽しそうに舞う。
生かした人間は私怨によって強く成るか、はたまた強い人間を向かわせて来るのか、漆黒龍に取ってはどっちでもいい事だ。
この漆黒龍が思う事はただ1つ、『良い感じに面白く成らないかな?』それだけだ。
そこには村1つ滅ぼした罪の意識も罪悪感も無い。この退屈を嫌う龍は面白くする為ならなんだってする。
何故なら魔物だから。人間に害為す存在だから。
漆黒龍は笑いながら1つの街の上空を旋回する。
下を見れば漆黒龍を見つけた人間からその衝撃は伝播し、瞬く間に龍が来たと街全体に伝わる。
これでこの近くに漆黒龍が居る事は伝わった。後は村で食って寝ていれば人間が勝手に集い、漆黒龍を討伐せんとやって来る。
漆黒龍は方向を変える。先程焼いた村へと戻る。
村には潰れた肉塊と丸焦げに成った死体。焼け落ちた家に崩れた建物だった物、そして未だ暢気に餌を貪っている家畜達だけしか残っていない。
漆黒龍は元村の中心に降り立ち、翼を畳んで丸くなる。
「さてさて、強くて面白い人間は来るかな~っと」
楽しげに尻尾を動かす。欠伸を1つ溢して目を瞑る。
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