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龍が現れたという報告を聞いて、ギルド『女神の剣』の団長は急いでギルド員を集めた。
普通の龍相手ならこんな大掛かりな事はしない。目を付けられたら逃げられない相手だからこそ、総力戦をする。
それだけ漆黒龍という存在は危険なのだ。
漆黒龍と遭遇し、生還した者も少ない。焼かれた村や街、都も両手両足の指では数え切れない。
勝利する事は出来ずとも、街から退かせる事が出来るかもしれないという小さな希望にすがり付き、震える意志を誤魔化す。
総数2468人のギルド員は今世界各地の支部からこの街まで最短でも1ヶ月は掛かるだろう。
それなのにどうして2週間足らずで、それもたった300人程度で漆黒龍の元へと向かっているのか、理由は単純、街の住民から早く討伐するよう催促が来た。
漆黒龍は街の付近で暴れ不安を煽り、炎の雨を降らせ家を焼き行き場を失った人は数知れず、更には深夜に咆哮する等、街に住む者に多大なストレスを与えている。
ギルド団長も例に漏れず、連日のストレスで疲弊しきっている。集まったギルド員も全員集まるまで動けるかが分からない。
手は1つしか残されていなかった。
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