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耳鳴りがするくらいのけたたましい音が捜査課全体に響いた。どこかの馬鹿が電話の受信音を最大にしたに違いない。
「こちら捜査一課、武内だ」
武内は顔をしかめて受話器をとった。普段なら若手が電話にでるものなのだが、人手不足で全員出払っている。
『こちら生活安全課。た……武内刑事部長!? し、失礼いたしました』
「何事だ?」
恐らく、相手も武内がでることを想定していなかったのだろう。その声は緊張で上擦っていた。
『はい!近隣で巨大なロケット花火が打ち上げられたとのことで、応援要請を……』
大量の空気を吸い込み、肺にたまった空気を怒声に変えて吐き出す。
「馬鹿者! それくらい、所轄で対応しろ」
叩きつけるように電話を切ると、窓ガラス越しに外を見た。先端の尖った筒状の物体が、火花を散らしながら上昇している。
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