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1 猫カフェの猫
【ラッキースター×オヤジ×タケル】
◇ ◇ ◇
「だから非常識だと初めから何度も忠告差し上げたでしょう!」
「そうですよ、あんな名前を付けられて可哀相に。逃げ出すはずです!」
店先でキャンキャン吠える太ったババアとガリガリ眼鏡からの攻撃に、オヤジはたじたじだった。
『あんな名前』っつーのは、多分アタシのことだ。
別に名前のせいで逃げたワケじゃないし、もっと『それらしい名前』の奴らの方が先に消えてったってのに。
こいつら、馬鹿なんじゃないの?
「動物愛護団体に訴えさせていただきます!」
ほら、ことあるごとにコレだ。
結局自分らの言い分が正しいという結論に持っていきたいだけ。
「『ラッキースター』なんてふざけた名前のせいであの子が店の客にいじめられていたことは周知の事実ですよ!」
――違うよ馬鹿!
さすがにこれはムカついた。
いっそ飛び出してって引っ掻いてやろうかと思ったけど、それまで無言を貫いていたオヤジが立ち上がるのを見て再び身を潜める。
「どうぞお好きに。どちらにしても、あと2日で終わりですから」
淡々とそれだけ。
言い返さない、言い訳もしないオヤジは格好いい。
でこぼこコンビは気迫に圧されたか、何も言わずにすごすごと立ち去って行った。
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