第2話 野良猫

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2 野良猫 【名無し×名無し×名無し】    ◇   ◇   ◇ 「あ、猫!!」 「え、まだいるのか。のん気なヤツだなぁ」 ほらおいで、ちっちっち――じゃねえよ、馬鹿にしくさりやがって人間どもが。 「おいよせ、呼ぶな」 背の高いニイちゃんの方がそう言った。 ああ、そうしてくれると助かる。 だが、「ええ」と不満を顕わにするネエちゃんに対して、ニイちゃんは更に迷惑な提案をした。 「そのまま歩かせて、着いていこうぜ。『安息の地』に連れて行ってくれるかも」 ……あったま悪いなコイツ!! 本気でそんな噂信じてやがるのか? そんな場所があるなら、人間界のお偉い連中はとっくに逃げてるだろうが。 平和ボケした日本人の中には、この土壇場になってもまだ『どうにかなる』と思っているヤツが多くて笑えない。 そのくせなんの努力もしないで、のんのんと日々を消費していく。 常に他人任せ、誰かがどうにかしてくれる、自分だけは多分なんとかなると。 だっせぇ。クソ野郎どもが。 俺らの方が、よっぽど潔くてカッコいいと思わねえか? そんなに『安息』したきゃあ、ついでに兄ちゃんの首も掻っ切ってやってもいいけどな! 「あっ!」 電柱と壁を交互に蹴って一気に駆け上る。 見上げる間抜け面、やっぱり止めだ、こんなヤツで手を汚してたまるか。 せいぜい『安息』出来る死に場所を探すんだな。 「あー……行っちゃった。お兄ちゃんが意地悪なこと言うから」 ああ奴らは兄妹だったのか、と気付いた時には、もうその声すら届かなくなっていた。
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