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突然の話だが、裕が結婚した。
【夢の続き】
というのも、ただの噂で耳にした事であって、真偽は分からない。
ただ、もしこの話が本当なら、もう3歳児のパパだそうだ。
一方俺は、自由気ままな独身貴族。
現在は27歳。そろそろ、お嫁さんでも貰う年頃である。
だが、俺はもう特定の誰かと付き合おうとは思わない。今も、これからも。
何人かと付き合ってみたが、裕以上に好きになれる人は出来なかった。正直、興味すら持てなかったのだ。
俺は、人と付き合うことを諦めた。
仕事を終えて自宅へ戻ると、一件の留守番電話が入っていた。
再生ボタンを押してみる。
『一件のメッセージがあります。
......もしもし航貴?俺俺!田中だよー!元気だったか?三年前に一緒に飲んだ切りじゃん。あん時は酔っ払いすぎて迷惑かけたなー。あんまし記憶ないけど、家まで送ってくれたんだろ?んでさ、今月末に中学の同窓会があるらしいんだけど、航貴一緒に出ないか?皆で飲もうぜ!場所は○○○ってところで、宮とか良樹は来れるってさ!覚えてるよな?あー、だけど裕は......プーップーッ』
話の途中でメッセージが途切れた。
全く。田中は相変わらず話が長いな。
半分呆れたが、なんだか変わらない田中が懐かしくもなり、嬉しくもあった。
同窓会か......。
少しだけ、苦手な響きだ。
しかし、今月末は土曜日なので仕事は休みだし、特に用事も入っていない。
あの頃を思い浮かべば、田中や皆に久しぶりに会いたいと思う。
メッセージは途中で切れていたけど、どうやら裕は来れないようなニュアンスだった。
裕が来るなら絶対参加なんてできないけれど。
「──出てみるのもいいかもな」
寂しさを埋めるのにはちょうどいい。
あの時代の旧友たちと会えば、あの頃の自分に戻れるような気がするから。
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