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赤い髪の毛を掴まれ、思いきり引っ張られる。引きちぎれそうな激痛が頭を襲う。
「女の癖に油断ならねぇな」
男の声と息が耳元と顔にかかる。目を閉じているので相手の顔は見えない。
少しだけ恐怖心が和らいだのか、私は喋ることができた。
「……私が……何をしたんですか……」
声は震えていた。そのまま殴り飛ばされるのではないかと、体が縮み上がった。
1秒ほど間をおいて頬を拳で打ち抜かれる衝撃と、鳩尾の辺りを蹴られる衝撃に襲われる。
体が一瞬浮き、数メートル地面の上を転がる。
うつ伏せの状態で止まり、口の中を苦い液体が満たす。自然と鳩尾の辺りに手をかけようとするが背中に激痛が走り、手の動きを妨害する。
目を開けると、薙刀が少し離れた所に転がっているのが見える。
何年も必死に振り回した薙刀。部活動では、全国大会に出られるほどに技術もつけた。
そんな積み重ねた技術も努力も、社会の裏で生きる人間には通用しなかった。
それどころか、その積み重ねたものですら、今からこの男達に壊される。
ナイフを片手に男がゆっくり近づいてくる。
それに合わせるように私の手の先から感覚がなくなっていく。出血のせいで、体温が下がっているのだろう。
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