闇に飲まれる赤髪

3/13
前へ
/13ページ
次へ
1時間前……。 「あの……紅(くれない)寧香(ねいか)さんですか?」  放課後、学校の教室で部活の準備していたとき、見知らない女子が声をかけてきた。  眼鏡をかけた、物静かそうな印象の女子。  顔を見て同じクラスの人じゃないと感じた。 「そうですけど……。あなたは?」 「私は1年B組の白神(しらかみ)あかりと言います……」  下校する生徒たちの喧騒の中、消え入りそうな声で白神あかりと名乗った。 「あかりさんね。で、何の用?」  私のいる教室は2年E組。上級生のクラスは入りにくいのに、なんで顔も知らない1年生が来たのだろう。 「ここじゃ人目があるので……。屋上に来てくれませんか?」  あかりさんはそれだけ言って教室から出ていった。 「寧香? 今の誰?」  私の近くにいた、同じ薙刀部でもあるクラスメイトが、不思議そうな顔をして聞いてきた。 「知らない1年生なんだけど私に話があるんだって。部活は遅れるって伝えといて」  クラスメイトにそう言って、私は屋上に向かうことにした。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加