闇に飲まれる赤髪

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「寧香先輩に助けてほしいんです」  しばらくして泣き止んだゆかりさんはこう切り出した。  私はすぐにその言葉の意味が理解できなかった。 「ゆかりさん? 私に助けてほしいって……」  私が聞くと、呼び捨てでいいですよ、と言ってからポツポツと話し始めた。  ゆかりは学校から通学する際はバスを利用しているらしく、バスの中はほぼ満員になること。  最近そのバスの中でゆかりは痴漢されているらしい。  しかしゆかりはその引っ込み思案な性格からか、その場で痴漢にあった事を言い出せず、耐えるしかなかった。  バスを下りてすぐに近くの交番に行き警官に相談したが、「現行犯じゃないと捕まえられない」、と冷たく返された。  友人たちにも相談したとき、「2年E組の紅先輩ならその場で言えるんじゃない?」、と言われたのを頼りに、私の教室まで訪ねてきたらしい。
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