闇に飲まれる赤髪

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 校門を出て、駅前のバスの停留所まで歩く。交差点の信号が赤に変わり、私とあかりはそこで止まる。 「今思ったんだけどさ……」 「はい?」   私はあかりの方を見ずに話を切り出す。 「学校に、裏活動同好会、っていう同好会があるうわさを聞いたことある?」  裏活動同好会というのは私が1年生の頃、生徒の問題事を調べたりする、生徒会を影で支える組織があるといううわさがあった。  今やこの学校の七不思議の一つになるくらい有名なうわさになっている。 「そのうわさは知っています。正直、寧香先輩に断られたらその同好会の人を、本気で探そうと思ってました」  あかりは知っていたらしい。むしろ、学校で知らない人はいないくらい有名だから、当たり前だけど。  信号が青になり、再び歩き出す。もう5月なのにまだ肌寒く、遠くの土手に見える葉桜が、初夏の到来を遅く感じさせる。 「まだ冷えますね……」  時折吹く冷たい風に身を縮めるように、あかりは首に巻いたマフラーを鼻のところまで上げる。 「もう5月なのにね。地球温暖化のせいかな」 「地球温暖化ならかえって暖かいはずですよ?」 「そうだっけ? ……確かに温暖化っていうからね……。じゃあ地球寒冷化?」 「だったら皆、地球温暖化って心配しませんよ」  あかりが笑いながら答える。寒い中そんなやり取りをしながら停留所を目指す。
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