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そのあと、裏路地や住宅街を走り回り、今も逃げ続けている。
陽は完全に落ち、暗闇の見通しの悪い中でも男達を振り切れず、頭の中にはあかりの不気味に微笑む顔が何度も浮かんだ。
それを振り払うように、走る先にある曲がり角を左に曲がる。
曲がった先で前を見た瞬間、私の足が止まった。
私の数メートル先には、立ち塞がるようなコンクリートの壁が建っていた。
そばにゴミの詰まったポリ袋が散乱しているところを見ると、おそらくこの辺りのゴミ捨て場なのだろう。
男達の近づいてくる足音が聞こえ、今まで走っていた曲がり角の方を向く。
(こうなったら……)
鞄と一緒に持っていた、練習用の薙刀を専用の細長い袋から取り出し、息も整わない中で構える。
160センチ程の柄の先にはプラスチックで出来た刃が付いている。斬ることは出来ないが、遠心力に任せて勢いをつければそれなりのダメージは狙えるはずだ。
曲がり角から男達が出てきた瞬間に、奇襲をかけようと大きく息を吸い、覚悟を決めた。
足音をよく聞き、踏み込むタイミングを探る。
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