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「ソラコトです!本日付で赤十字軍勤務となりました。一言之信にして、努めていきたいと思います」
陶器のような肌にセピアの瞳。オレンジの髪を横でまとめた若々しい女の子が、背筋を伸ばして敬礼している。
一見すれば初々しい。しかし皆の目を一段と惹いたのは背中に背負っている黒い棺桶。
少なからずひそひそと小声で囁き合うのが聞こえてくる。
ここは赤十字軍本支部。アルクトゥートスお抱えの、医療スペシャリストたちが集まる場所だ。
彼女は今日からここに配属された新人であった。
その顔は希望と不安が見え隠れするが、総じて精悍さが伺い知れる。
「ソラコトさん」
そんな彼女の前に二人の人影が差した。一人は緑のサラサラした髪に、空色の瞳。黒いタートルを着込んだ少年だ。
もう一方はかなりの高身長で、これまた長い白髪が印象的な男だ。
「初めまして。マルクスです」
「Kダ。よろしく頼ムヨ」
「よろしくお願いします」
先輩である二人は上司からここでのルールなどを教育するよう言付られたようだ。その旨を伝えると、ソラコトも頷いて姿勢を正した。
「といっても、あまり詰め込むほどないけどな」
「ふむふむ。だからそんなにリトルせしめるのですか?」
「はっ…?」
「じーっ」
ソラコトはちょいちょいと手をマルクスの頭へ持っていく。その意図に気がついた少年マルクスはばしっと払いのけた。
「そこ!?今の流れでなんで身長の話しなんだよ!」
「むむ、気にしてたの?」
「別に気にしてないから!ここにいる三人の中で一番ちっちゃいとか全然思ってないから!!てか敬語はどこいった!?」
「ワタシ一番大きいヤッタ」
「聞いてないからね!?」
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