第一章 棺桶女

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「ソラコトです!本日付で赤十字軍勤務となりました。一言之信にして、努めていきたいと思います」 陶器のような肌にセピアの瞳。オレンジの髪を横でまとめた若々しい女の子が、背筋を伸ばして敬礼している。 一見すれば初々しい。しかし皆の目を一段と惹いたのは背中に背負っている黒い棺桶。 少なからずひそひそと小声で囁き合うのが聞こえてくる。 ここは赤十字軍本支部。アルクトゥートスお抱えの、医療スペシャリストたちが集まる場所だ。 彼女は今日からここに配属された新人であった。 その顔は希望と不安が見え隠れするが、総じて精悍さが伺い知れる。 「ソラコトさん」 そんな彼女の前に二人の人影が差した。一人は緑のサラサラした髪に、空色の瞳。黒いタートルを着込んだ少年だ。 もう一方はかなりの高身長で、これまた長い白髪が印象的な男だ。 「初めまして。マルクスです」 「Kダ。よろしく頼ムヨ」 「よろしくお願いします」 先輩である二人は上司からここでのルールなどを教育するよう言付られたようだ。その旨を伝えると、ソラコトも頷いて姿勢を正した。 「といっても、あまり詰め込むほどないけどな」 「ふむふむ。だからそんなにリトルせしめるのですか?」 「はっ…?」 「じーっ」 ソラコトはちょいちょいと手をマルクスの頭へ持っていく。その意図に気がついた少年マルクスはばしっと払いのけた。 「そこ!?今の流れでなんで身長の話しなんだよ!」 「むむ、気にしてたの?」 「別に気にしてないから!ここにいる三人の中で一番ちっちゃいとか全然思ってないから!!てか敬語はどこいった!?」 「ワタシ一番大きいヤッタ」 「聞いてないからね!?」
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