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「そっかぁ。 じゃあ、俺、早とちりしちゃったかな」 椎名さんは参ったなぁという風に頭をポリポリとかいた。 「よく意味が分からないんですけど、早とちりって何をですか?」 空になった小鉢から椎名さんの方を見ると、なぜかばつが悪そうな顔をしていて私と視線を合わせようとしない。 「いや、俺さ、ウサギちゃんが堂々とその指輪してるから、見せつけてるのかと思って」 言いにくそうに、ボソボソ話す椎名さん。 それでも椎名さんの言葉の意味が分からずに再度、聞く。 「いまいち、分からないんですけど・・・・・・」 すると今度は、はっきりした口調で話す。 なんだか勢いに任せた言い方で 「ウサギちゃんがその指輪してるから、俺と司の関係も全部知った上で俺に見せつけてるのかと思ったんだよ。 知ってるのに俺に何も言ってこないから、牽制されてるのかと思って苛ついてて、会議室で我慢できなくなった」 要するに、私が嫌みったらしく指輪をつけてると思って苛ついたってこと? 「あの、椎名さん。 いくつか質問があるんですけど」 「はい、どーぞ」 うわ、こりゃまた素っ気ない。
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