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椎名さんって、優しい人。 「教えて下さい」 お願いをすると、わざとらしくやれやれって顔をする。 「そのデザインは、葵ちゃんの為に作ったんだ。 そう、司は言ってたよ。 だからその指輪を作るときは、相手から話を聞いて、司が幸せになってもらいたいと思った人にだけ作るんだ」 その言葉を聞いて、鳥肌が立つ。 次の瞬間に、何かが込み上げてきて鼻がツーン、とする。 やばいと思った時には、もう遅くて涙が溢れ出ていた。 「―――っ」 言葉に表すには、難しくて、言葉がいくつあっても足りないこの気持ちは、 なんて、表現したら、いいのだろう。
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