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それから、少しして明日も仕事なので、そろそろお開きにする。 料亭を出る前に、椎名さんのお母さんが挨拶に来た。 「また、いらしてね」 と笑う顔はどことなく椎名さんに似ていた。 時計を確認すると、結構長い時間、話していたんだなぁというぐらい時間が経っていた。 「もう遅いし、送るよ」 紳士的な椎名さんの心遣いをやんわり否定する。 「あ、いえタクシー拾って帰るんで、大丈夫です」 「じゃあ、タクシーが拾える大通りまで一緒に行くよ」 そう言うと椎名さんは、歩き始めた。 「ありがとうございます」 今日は、泣いたり、怒ったり、笑ったりで疲れた。 帰り着いたら、ゆっくりお風呂に入って、それから・・・・・・ 「ねぇ、ウサギちゃん」 「はいっ」 突然の呼び掛けに、ビクッとなってしまった。
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