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「司のこと、解放してくれって言ったけどそれは俺の大きな勘違いだった。 本当、いろいろとごめんね」 私の歩幅に合わせて、椎名さんは歩いてくれる。 なんだか、それが久しぶりの感覚でくすぐったくて、つい笑ってしまう。 男の人と並んで、こういう優しさを感じるの久しぶりだなぁ、なんて。 「もう、いいですよ。 そんなに謝らないで下さい」 ふふっと笑う。 「ウサギちゃんが、司に会いたいならセッティングするけど?」 歩いていた足を止めて、椎名さんは私を見る。 「・・・・・・いえ、いいです。 司さんに会いたくないわけでは、ないんですけど。 時が来たら、会えると思うんです。 その方が、私も司さんも、しっくりくるような気がして・・・・・・。 この指輪にも、お願いしたので大丈夫です」 左手にある指輪を強い思いで見つめる。
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