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司さんにちょっかい、は出してない。 そもそも、会ったことがないので、出しようがない。 深刻な顔をして考えている私を見て、はっちゃんは面白がるのを止めた。 「ねぇ、あんたがそんな顔しないといけないほど、嫌なことされてるの?」 はっちゃんが心配し始めたことに気づかない私は、考え事をしながら適当に返事をする。 「うん。 えっと、椎名さんがわざと私に残業させるように仕向けるの」 「そうなの?」 「うん」 司さんが、私に指輪を贈ったのが気に入らなかったとか? うーん・・・・・・。 黙りこんで、頭を抱える私を見て、はっちゃんはますます心配になったのか優しくなる。 「嫌がらせって、あんたがそんなになるまで酷いレベルなのね。 ・・・・・・よっぽどだわ」 今までにないぐらい落ち込んでいると勘違いした、はっちゃんはカウンターの中に戻って何か作業し始める。
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