おしまい

2/2
前へ
/43ページ
次へ
ふと、目を開けた なんで目を閉じていたのかわからないけど、その瞼を開けた先はありえないくらい眩しくて なんだかとてもクラクラする 「先生、この子の意識が戻りました!」 「何だって?容態は!」 「良好とは言えませんが、今までと比べればかなり安定しています!」 視界はずっと真っ白で、聞こえたのは水中から聴いてるみたいなぼんやりとした人の声と機械音 感覚を置き去りにして、段々と意識だけがはっきりしてくる ……? 息がしづらい 身体が、とても重くて動かない そもそもここは、どこだろう 今は何時で、 今日は何月?何日? さっきまで……何、してたっけ。 「聞こえますか?お返事できそうかな?」 優しい声音で男の人が聞いてくる。 応答しなきゃ……と思っても、はく、と息が口から洩れるだけだった。 ドッ、と焦燥感が押し寄せる 話し方が、わからない。 声が出ないだけ? じゃあ手で…… あれ、どうやって動かすんだっけ 「……ミオちゃん?」 女の人の声 ミオちゃんって誰? あなたは、誰? 僕の知ってる人?知らない人? わかんない。 どうしよう 何も、全部、わからない わかんない こわい なんだかぐるぐる、目が、回ってきて 「ミオくん、大丈夫?」 そっと誰かが僕に触れた 触れた?そんな気がする 触れてないかもしれない 息の仕方も忘れたみたいに息が詰まり始める。 「ミオくん落ち着いて」 鼓動がどんどん早くなっていく 音がうるさいくらい大きい ドクドクドクドク、これは……何の音? こわい 血が勢いよく巡っているのがよく分かる 全身がドクドクに共鳴するような 波打つような感覚が、こわい、気持ち悪い、苦しい、辛い、助けを、手を伸ばせない、訴えることもさけぶこともできないめはすごくかわいているのにとじれなくてどうしていいかわからなくて こわくて ほおにみずが、ひとすじながれる 「ミオくん?!すぐに」 まっくらになった もう、なにもうるさくない ゆっくり、いきをはいて
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加