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「居たぞ!!…あそこだ!!」
ミコトの配慮は実らず、今のやり取りの声は追跡者たちに聴き取られてしまった。
遠ざかりつつあった多数の足音が、再び此方へと戻って来る。
「…ちっ。カミちゃんが呼吸なんかするから…」
「ち!?…ちっ!?って何?ミコト…呼吸は誰だってするでしょ!?」
「そんなことどうでも良いから、逃げなきゃだよ!」
「そ、そんなことって、アンタ!?」
【バタバタバタバタ…】
言い合っている場合ではない。
走って逃げるには狭すぎる路地だが、しかし、追っ手が迫ってくる表通りに飛び出すわけにもいかない。だから、カミとミコトは壁やら柱にあちこちを擦りつけるようにして、さらに路地の奥へと進むしかない。
幸い…と言って良いかどうか微妙だが、カミもミコトもスリムな体型だったので、追っ手の男達よりは難なく奥へと進むことが出来た。
追っ手の中には女性PCも居るのかもしれないが、先頭に飛び込んだのが大柄な男性PCだったので、入り口付近で引っかかって蓋をしてくれている。
「み、ミコト。で、出口の方へ先回りされてたらヤバイんじゃないの!?」
「だからって、この路地の真ん中で立ち止まってたら挟み撃ちになるんだよ!?」
・・・
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