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鶴翼の陣の中央付近で【六防壁】を展開していた魔法師もそれを覚悟していたハズだ。そんな覚悟はジーパンにとって理解不能な思考だ。
「…ま。鶴翼の陣ってのは、集団戦の陣形の中じゃぁ、仲間の被害を最小限に押さえられる…比較的、思いやり?…のある防御陣形だけどな。ジーパン。お前が、中央部へ到達する前に鶴翼陣形の包囲が完成したら、手も足も出す暇なく集中砲火を浴びて…」
ヴィアは途中で言葉を止めると、右拳の親指だけを立てて、それを自分の喉元辺りを掻っ切るような仕草をしながら、
「ジ・エンド…だ。お前。死んでたかもしれねぇぜ?」
と目を細めて言う。
対して、言われたジーパンは不服そうに眉をひそめて言い返す。
「あんな動きの遅い連中。囲まれるよりも僕が中央を突破する方が早いに決まってるだろ!お前が、足を引っかけなきゃね。そりゃ、中央付近の数名には囲まれるかもしれないけど、僕の槍があればそのぐらい何とでもなるよ。…っていうか、僕が言いたいのはそういうことじゃなくって…」
「あぁ。わかった。分かった。分かってるって。悪かった。悪かったよ。危ねぇからその槍を振り回しながら喚くのは止めてくれ。確かに、俺も集団戦なんかに付き合いたくは無ぇし、自分が死んでも組織が勝利すればそれで満足だ…なんていう価値観には寒気すら感じるさ」
「だろ?」
・・・
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