129人が本棚に入れています
本棚に追加
「…だが。つまらない…からって、じゃぁ、どうするよ?集団戦を仕掛けてくるのはアチラさんの必死の作戦だ。どこぞの国の戦国時代じゃぁあるめぇし、『やぁやぁ我こそは…』とか名乗りを上げて、個人戦をやりましょう!…って呼びかけたって、耳を貸してくれるとは思えねぇけどな」
「そんなこと…分かってるよ。どうするとか、こうするとかじゃなくて…とにかく、つまらないって思っちゃったんだから仕方ないだろ!…ってことで、放っといてくれ」
もう、これ以上は話しを続けるつもりは無い…とでも言いたげに、膨れっ面のジーパンはヴィアに背を向ける。古典的なイジケ虫のポーズ…膝を抱えた体操座りで。
そして、また、顔を膝の間に埋めるようにして「はぁ…」と溜め息をついている。
ヴィアはそれ以上、かける言葉を失い。呆れ顔でその背中を見つめる。
何が何だか分からない…というワケではない。逆だ。
分かりやす過ぎるといえるほどに、ヴィアには、ジーパンがつまらなさを覚えている本当の理由が分かっている。
だから、呆れ顔で見つめたのは、ジーパンの口からその本当の理由が出てこなかったことに対してだ。
ジーパン自身がその理由に気づいていないのか?…それとも、分かっているのだがそれを「つまらない理由」だと認めることに抵抗があるからなのか。
ジーパンが「つまらない理由」は、先ほど語ったような複雑なことではない。
簡単なことだ。
(…アスタロトの野郎が…戻って来ないから…だよな)
・・・
最初のコメントを投稿しよう!