第1章 TOP19狩り

218/221
前へ
/314ページ
次へ
   即死してもおかしく無いような体が裂けるという大ダメージから、アスタロトへの強烈な憎しみに起因する【生】への渇望を力として蘇生してみせたジーパン。  その狂気にも似たアスタロトへの憎しみと【生】への執着に、ヴィアは何故か…自分でも良く分からないが…強力に引きつけられて…自分の死後に自分の意思を…想いを…引き継いでくれる依り代になると思い込み、彼と行動を共にすることを選んだ…のだが、しかし、何故、それほどまでにアスタロトを憎むに至ったのか、その理由も聞かされたことがなければ、それ以外のジーパンの素性についても一切話題にしたことが無かった。  気にならなかったか?…といえば気にならないこともなかったが、しかし、アスタロトへの憎しみの大きさに比べて、話にもならないというか…笑ってしまうほどのジーパンの弱さを見かねて、何とかして鍛えてやらなければと…今日までそれだけを考えて行動してきたヴィア。  はっきり言って、ヴィアはTOP19であるジーパンより間違いなく強い。ジーパンの面倒など見ずに、一人で行動した方が、おそらく彼の行動原理である「世界の破滅を自らの手で…」の実践もより容易に行えただろう。二人でタウン・アタックを行う際、最初の一撃はヴィアの攻撃魔法【失楽爆炎獄】で始めることが多いが、その後は、リヴァイアサンをモチーフとした長大な槍を手に物理攻撃を仕掛けるジーパンを、防御魔法やら回復魔法で援護することの方が多いヴィア。  そう。ジーパンと出逢ってから、ヴィアの貴重な残された時間は、ある意味、ジーパンを守り育てるために費やされたと言っても過言ではない状況であった。しかし、それを今日まで無駄だと考えたことは一日たりともなかった、ヴィア。…なのだが…  (…何やってんだ?…俺は?) ・・・
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加