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だが、ヴィアは、この自分を襲う原因不明の不安定な症状が、リアルの肉体の【死】が近いことに起因するのだと本能的に悟っていた。
だから…駄目だ。今のままの流暢なやり方では、全然駄目なのだ。彼の意思を…想いを…ジーパンに託すなど、全然、時間が足りないのだ。どうして、今日までそれに気づかずにいたのか不思議なほどに、分かりきったコトだった。本当に夢から醒めたみたいだ。
そして…ヴィアは決意する。
しかし、その決意をジーパンに伝えるため、声をかけようとした…ちょうど、そのタイミングで、ジーパンが突然、喜びの声を上げる。…喜び?
訝しげに目を細めるヴィアの方へと勢い良く体を向け直し、ジーパンが満面の笑みを浮かべてヴィアに言う。
「おぃ!ヴィア。見たか?…『Face Blog ER』の掲示板のさ、新着書込。これ、ホントかな。ヴィアはどう思う。僕は…ホントだと思うんだけど。何だよ。まだ、確認してないのかよ。なら、早く見てみろよ。ほら!」
さっきまでのふて腐れた態度とは別人のように目を輝かせるジーパン。
ヴィアはそれを、表情を消して黙って見返す。「Face Blog ER」掲示板の新着リストなど確認しない。ジーパンが喜ぶような情報が投稿されたのには違いないが、今のヴィアには、それが何だろうと…もう、どうでも良かった。
ヴィアには、今、心に決めた事があり、そして、それをジーパンに伝えるコトだけが重要なことだったから。
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