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「ご心配なく、信用して欲しいなぞとは毛ほどにも思っていませんから。もちろん、軍門に下る気もありませんし」
「……じゃぁ、何を考えたってんだ?」
面倒くさそうに問い下すジュピテル。
しかし、黒スーツのPCは、まるでもったいぶるかのように沈黙を守っている。
まるで、何かのタイミングを図っているかのように。
意味深なその間を、しばらくは余裕の表情で見守っていたジュピテルだが、そのあまりの長い沈黙に、さすがにきな臭いものを感じ始めた。
ちょうど、その時。
「喉は渇いていませんか?……水を持ってきましたが……えっ!?」
「おっと、お嬢さん。乱暴はしませんから、おとなしくしてて下さい」
水差しを載せた盆を手に、部屋へと入ってきたパラス。……が、ドアのすぐ傍にいた黒スーツの男に肩を掴まれて拘束された。
一瞬の出来事だった。
それは奇しくも、先ほどジュピテルに肩を掴まれていた偽のパラスと姿とそっくり同じような構図だった。
驚きと、苦痛、そして恐怖のあまり声も出せないパラス。救いを求めるようにジュピテルへと揺れる眼差しを向ける。
「お嬢さん。あの男に救いを求めるのは本末転倒。私はアナタを救いに来たのです」
・・・
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