Death Simulator ３

プロローグ

　
　あの二人の所業は、ＴＯＰ１９制度が導入された１０月１日からのメジャーアップデートとよりずっと以前から続いていたはずだが、チューブ・ライブのアーカイブ映像には、面白おかしく…真しやかに「一般ＰＣを虐殺して回るＴＯＰ１９」というテロップが付されていた。
　宿敵アスタロトの不在で、少しテンションが低下気味の２人だったが、そのことが返って無表情かつ冷徹にタウンを破壊して回る不気味な存在として、一般ＰＣたちの不安感を大いに煽った。
　あの危機的状況の超高高熱と極々極低温に比べれば、ヴィアが得意とする攻撃魔法【失楽爆炎獄（しつらくばくえんごく）】の火球など線香花火の火玉程度のささやかなものに過ぎないのであるが、そもそも噂話でしかハザード・イベントの詳細を知らない一般ＰＣたちにとっては、十分に脅威としてイメージされる映像だった。

　ちなみに【失楽爆炎獄】は、中級以前のＰＣにも修得可能な魔法であり、一般ＰＣの中にも修得済みのものは少なくないハズだ。しかし、チューブ・ライブの映像をアーカイブ化する時の編集が巧みで、通常の【失楽爆炎獄】よりも数倍派手な破壊力があるかのように映っていた。

　さらに、あの暴君ジュピテルがＴＯＰ１９であることが、噂話にまた違った背びれ尾ひれを付加させていた。
　カミやミコトは、それほどの古参プレイヤーではないし、デスシム世界での大半の時間を、例のスカル・ドラゴンのダンジョン攻略に掛かり切りだったので知らなかったが、ジュピテルを恐怖する一般ＰＣは想像以上に多いのだ。
　あの恐怖による支配が、最終的には大虐殺へと繋がるという噂には信憑性があった。

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