飴玉

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引き寄せて、縛り付けて、押さえ込んで 嫌がるあいつの着物を剥ぎ取った 「土方さんっ!」 そんな声で呼ぶな 虫酸が走る いつもの、明るい笑顔も、弾んだ声もない 聞こえるのは拒絶の声と あいつの体の震えだけ それでいい 俺で頭ん中埋めてやる 俺で一杯になって何も考えるな 俺だけ見ろ 心にもない言葉を浴びせて、 酷い扱い方をして あいつを無理矢理抱こうとした だけど、 「土方さんっ!!!」 一際響いたあいつの声に顔をあげると あいつの瞳から涙が溢れていた 初めて、だった こいつが泣いたのを見たのは 総司と傷つけた時も 芹沢に叫んでいた時も 一度も見せなかった涙を こいつは、今ここで流した
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