なんでもできてなんにもできない

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　そんな二人は幼馴染であった。今日も三城卓の部屋のドアが、コンコンっと軽くノックされた。

「卓、私だ、優菜だ、キミの顔が見たい、開けてくれはしないだろうか？」

　しかし返事はない。構わず優菜は続けた。

「今日は中間テストの答案が全て返ってきたんだ。五教科中四教科も満点を取ったんだぞ。合計四百九十九点だ。五百点満点を取れなかったのは、悔しくはあるがな」

　やはり返事はない。尚も優菜は喋り続けた。

「そうだ、夕飯の支度をしなくてはな。冷蔵庫の中身を丁度切らしてしまっているので、今から買出しに行ってくる。卓は、なにか食べたいものはあるか？」

　それでも返事はない。優菜は口を閉ざさない。

「では、適当に用意する。すこし待っていてくれ、すぐに用意してやるからな」

　返事を待たずに、篠ヶ原優菜は階段を下りていった。