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―・・・
「はぁ……」
ここは会社の休憩所。
と言ってもベンチと観葉植物と自動販売機しかない簡易的なものなのだが。
私は一人、ここで落ち込み中である。
なぜかって?愚問ね。
知ってるでしょう。
午前中のケアレスミス。
客観的に見たら『そんな事で』とか笑われそうだけど、私にとっては一つのミスも大きく重い。
よく私みたいにミスをしてヘコんでる子を見るけど、
その時に励ます子は決まって『大丈夫だよ!私なんかしょっちゅうミスするし!』なんて言ってたわね。
何が大丈夫よ。しょっちゅうミスするなら直しなさいよ。
…なんて今の私が言える権利ないんだけどね…はぁ……。
ただ、ミスした時に大丈夫って言われると逆に辛いのね。一つ学んだわ。
「はぁ……」
本日何十回目かの溜め息を吐き出した。
『元気、無いですね』
…と、後ろから声がした。
これは私に言ってるのかしら。
…きっとそうよね、周りに誰もいないし。
振り返ってその声の主を見てみれば若い男が立っていた。
え…と…名前名前…ああ思い出した、風間 純也-カザマ ジュンヤ-さんだったわね。
担当部署が違う為ほとんど顔を合わせない。
合わせても廊下ですれ違って挨拶をする程度。
勿論親しい間柄でもない。同じ会社に勤めている…ほぼ他人だ。
こんな親しくもないほぼ他人の男に落ち込んでる姿を見られるなんて…なんだか惨めだわ。
『あの…よろしかったら、これどうぞ。』
そう言っていつの間に買ったのか缶コーヒーを渡された。
「…ありがとう。」
『いつもキビキビしてる先輩が元気無いと、皆が心配しますよ』
頑張ってください、と言って風間純也は去っていった。
「頑張ってください…ね。」
《カシュッ》
缶コーヒーを開ける音がやけに大きく聞こえた。
ズズ…ゴクッ…
「あら?美味しい…」
風間純也。
コーヒーのセンスはいいみたいね。
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