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『羽石、もうあがっていいぞー』 不意に左斜め後ろ側から声が飛んできた。 (この声は…) 振り返ってみれば やはり予想は的中した。 「…お疲れ様です。…谷崎部長。」 下から見上げるようにして言えば 谷崎は右の口角だけを釣り上げて偉そうに笑った。 …今現在私を見下ろしているコイツ、谷崎 雅史-タニザキ マサシ-はここの部長であり…いつも偉そうである。 背は普通に高い部類に入る、ルックスもまあまあ、頭もそこそこいい(私ほどではないが) ここまでなら文句なしにいい男かもしれないが、性格が最悪なのだ。 ナルシストだし偉そうだしいつも上から物を言う態度が…、ああー非常に不快だわ。 とにかく私はこの男が至極苦手なわけだ。 『はねいしー?どしたー?そんなしかめっ面して』 突然視界いっぱいに広がったナルシ野郎…谷崎が私の顔を覗き込んできた。 「…っ、何でもないです。じゃあお先失礼しますお疲れ様でした。」 後半棒読み気味になりながらバックを引っ掴んでオフィスを出た。 後ろで谷崎がなにか叫んでた気がするけど、どうせ対した事じゃないでしょう。 カツカツとヒールの踵を鳴らしながら 1人会社を後にした。
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