22人が本棚に入れています
本棚に追加
―・・・
《カチッ》
スイッチを押し、パッと明るくなった部屋に1人でスタスタ入るなり近くのソファに倒れ込んだ。
「はぁ………」
1人で住むには少しばかり広すぎる部屋で、溜め息をついた。
これもいつものこと。
借りてから5年は経つこの部屋での1人暮らしは
最初こそ心細く、寂しいなんて思った日もあった。
けどいつの頃からかそれも慣れてきて
いつの間にか1人が当たり前になっていた。
(1人が当たり前…ね…)
「…フッ」
客観的に見たら悲しい現実に思わず自笑してしまった。
けど当の本人は悲しいなんてこれっぽっちも思ってない。むしろ気楽でいい。
何より今は恋とか愛とか求める前に仕事が大事。
暇があったら仕事がしたいくらいだ。
実績やキャリアこそが私の全て。
こんな事を知ったら、お母さんや旧友達は哀れんだり悲しむのかしら。
「哀れみなんて…お門違いだわ………」
そう言って立ち上がろうとして力を込めるが、力が上手く入らない。
あれ…身体が重い…
このままじゃスーツがシワになっちゃう……
起きなきゃ……
起きなきゃ………
起きな………きゃ……
「…スー……スー…」
最初のコメントを投稿しよう!