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ドアを開けると、昇ったばかりの朝日がオフィスを照らしていた。
書類の入ったハンドバッグをいつもの所に置いて、出勤途中で買ってきた安い缶コーヒーを開ける。
《カシュッ》
アロマコーヒーの香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
(いい香り…)
何となく窓から見える朝日を眺めていた。
たまにはこんな時間も悪くないわね…それにしてもこのコーヒー美味しくない。
新発売なんて買うもんじゃないわね。
『羽石』
「っ!!」
急に聞き覚えのある声が背中から飛んできた。
あまりに急に呼ばれた名前に10秒ほど固まってしまった。
あー…朝から疲れる…
振り返って見ればやはり
「……おはようございます谷崎部長。」
『羽石今びっくりして固まっただろー、朝からいーもん見ちゃったー』
気持ち悪い笑顔でピースまでしてる。いい大人がカッコ悪い…
はあ…よりによってコイツに見られるなんて…
『おいおいそんな露骨に嫌な顔するなよ。』
「シテマセン」
『うっそだー(笑)』
あああー、五月蝿いうるさいウルサイ。
コイツと喋ってたら知能が低下しそうだわ。
頭上付近で騒ぐ谷崎を無視してPCの電源をつけた。
『あー?羽石ちゃん無視してるー上司を無視するもんじゃないぞー?』
無視無視。
《ウィィー…》
(早くつけ…早く…)
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