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「…ははは、なんだ、そうだったのかー」
「!?」
さっきとはうってかわって爽やかに笑い始めた。
ぎょっとして思わず後ずさる。
何かさっきと全然雰囲気違うけど…誰コレ!?
「いやぁ、やっと合点がいったよ」
「……」
「びっくりさせちゃったね、本当にごめん」
開いた口が塞がらない。
申し訳なさそうに微笑む目の前の優顔…… さっき俺の首を絞めていたやつと本当に同一人物か…?
先程の暗い空気はどこへやら、すっかりほんわかしたオーラが漂っている。
口調もだいぶ違う。
その笑顔に警戒心もふわっと緩む。
何なんだこいつ……あ、もしかして、
「……あんた…」
「泊めてくれてありがとー、ってうわ…ごめん、首赤くなっちゃったね」
心配そうに俺の首をなぞってくる。
くすぐった……いや、それよりも
「……二重人格……とか…か?」
「え?」
ボソッと呟く。
それ以外、この変わり様を説明できないよな…
その言葉を聞いたのか、優顔はきょとんとした後
すぐに苦笑して
「ああ、そういうことか。違うよ」
他の人よりちょっと防衛心が強いんだよね…
と続けた。
…いや、防衛心で人の首を絞めるのはどうなのか…。
「…あー、あとあの、」
「…?」
「泊めてもらっちゃった身で悪いんだけど…もし良ければ救急箱を貸してくれないかな?」
「…救急箱?」
祖父が昔書斎として使っていた部屋の棚を漁る。
いつも救急箱なんて使わないからしまっちゃったんだよな……。
「うわぁ、すごいね、この部屋は」
脚立に乗って棚を覗きこむ俺の後ろでは、優顔が興味深そうに部屋を見回している。
「外国の本だらけじゃないか」
「……じいさんが…旅好きな人で……んーこっちにはない、か………行った先で買い集めた本だよ」
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