二日目

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彼との間にどことなく気まずさが漂う。 その一方で、日常では見かけない量の血を目の前にして なんてコメントしたらいいんだこれ…! いや待ってそもそもなにこの状況…!? といった混乱が俺の頭の中をぐるぐると駆け巡る。 ああもう発狂してしまいそうだ…! それでも、そんな中にかろうじて残ってる理性に従い、何とかそのごちゃごちゃした思考を片付けにかかる。 そして、とにかく今一番にするべきことを導き出した。 「はー…」 深く息をつく。 ……よし、大丈夫、落ち着いた。 顔をあげて、彼に手招きする。 「……あんた、ちょっとこっち来て」 「…?」 おそるおそる四つん這いで近づいてきた彼を目の前の座布団に座らせる。 その横顔がやけに青白いのは失血のせいか……。 「じゃ、それ貸して」 「え、包帯?…はい…?」 受け取ってから、すぐに途中まで巻いていたのを解く。 「ちょっ…」 「この巻き方じゃダメだ、多分血が乾ききった頃に痛くなる……と……ごめん、横になって」 「っ!?」 解いた包帯を巻きながら彼の肩を半ば強引に押して畳の上に仰向けにさせ、その赤い腹に顔を近づける。 出血源のおおもとを確認しないと……あぁこれは… 「……刃物か、しかも鋭利な」 「…はぁ……っ…そうだよ」 「刺し傷じゃない、切り傷、ね…」 場合によっちゃ結構深刻な怪我だ。 でもそんな怪我を今まで黙ってたことからして、 「…救急車は呼ばれたくないんだよな?」 「!……よく分かったね……うん」 「やっぱりな………んー」 身体を起こして深く息をつく。 そんな俺を、彼は上体を起こして怪訝そうに見つめる。
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