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財布の中のお札を数える。
ヤバい、明日の食費足りるかな……
「ところでお前さ」
「はい?」
顔を上げると、ご飯で頬っぺたを膨らませる中嶋先輩がいた。
もぐもぐ、もぐもぐ。
「先輩、ご飯をお口に入れたまま喋るのはお行儀悪いですよ」
話す前にちゃんと飲み込んでください。
「ん、すまん…」
すべてにおいてイケメンな彼はこういうところに関しては子供っぽい。
それでも近くのテーブルからの女の人たちの視線はしっかり釘付けキープしている…すごいな…。
いや、それよりも俺が気になるのはさっき頼んだばかりの大量の料理たちの大半がこの一瞬でどこに消えたのかと言うことで…
「…ふー…いや、お前にちょっと聞きたいことがあってな」
「?」
「お前と同期の斎藤、分かるか?」
「斎藤、ですか?」
あー、確かにそんなヤツいたかも。
俺ら同期で飛び抜けて背が高かったヤツだよな…多分。
そう、あの背中。
「分かりますけど…彼がどうかしましたか?」
「俺の同期がそいつの指導やってたんだが、まぁ仕事が良くできるヤツでな。あの堅物課長も褒めまくりな程」
「……」
何ですかね、それに対してお前は仕事できないよな、っていうことが言いたいんですかね…それは……はい、ごめんなさい!
「なに涙ぐんでんだよ…ほら、ティッシュ。…で、そんなスーパー最強ウルトラサラリーマンだった斎藤が…最近になって急に調子が悪くなってきたみたいで…」
「へぇ、何故です?」
「……それが聞きたくてお前にこの話をしたんだが…何だ、お前らそこまで親しくないのか」
「斎藤とは…」
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