一日目

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さぶいさぶい、とマフラーに顔を埋めて歩くこと20分。 ようやく家にたどり着いた。 祖父が残してくれた平屋の一軒家。 今は俺一人で暮らしている。 「~♪」 家の鍵を取り出しながらつい鼻歌を歌ってしまう。 この扉を開けたらお風呂を沸かして体を温めて、それから温かい布団でぐっすり寝れる。 そう考えるだけで冬の寒さに凍えた体も温かくなったような気がする。 鍵を差し込み、扉を解錠。 よし、お風呂沸かすかー! だがそんな幸せ気分も、 「………う"っ…」 「…!?!?!?」 扉を開けたときに聞こえた、何かの呻き声によって消え去った。 体が硬直する。 ………。 ナニ、今の。 ま、真横から聞こえたよな…? うわ、何かすごくやな予感がする…。 …いや、待て、落ち着け、俺。焦るな。 気のせいかも知れないじゃないか、そうだ、きっと猫か何かだ…! 恐る恐る真横を見る。 そこには垣根の根本にうずくまるように何か黒い物体が………ある!あるよ!錯覚じゃない!あぁっ、残念、猫じゃないっぽい…!でかいよサイズ…! ……いや、待て、……何だ? …ヤバい、足元暗くて全然気づかんかったけど……人か、コレ……!!!! そっと膝ほどの高さの物体の前にしゃがみこむ。 それから微かに聞こえる音。 「…すー……」 …これは……寝息か…? …うわっ、やっぱり人か、これ…! 丸まって寝ちゃってる……。 え、どうしよう、こういう時ってどうすればいいんだ……? しかも何でよりによってうちの前で寝てるんだ…………。 ………。 放っといても、いいかな? ……いやダメだよな、今冬だし凍え死ぬよな。 ………。 …まぁ、とりあえず起こそうか。 意識なかったら困るし…。 「…すいません、起きてください」 「………」 「……すいません!あの!」 「………」 「……おい!起きろよ!」 「………」 「……バカ!アホ!オタンコナス!」 「………」 「……あっ、あそこにエロ本が落ちてますよ!」 「………」 ええー…何故起きない……(汗
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