日記 2

5/11
前へ
/26ページ
次へ
始めのうちは、小学生くらいの少年が遠慮がちに見ているくらいだったが、担ぐ袋が二つ目に達した頃、ギャラリーが増え始めた。 夜遊びばかりしているだけあって、疋田はUFOキャッチャーが上手く、交代でやっているにも拘らず、景品を取っているのは疋田ばかりだった。 気をよくしたのか、疋田は景品を獲得する度にギャラリーに向かってガッツポーズを作り、ギャラリーもそれに湧いていた。 金は自分で出していないくせに、疋田は得意気だ。 結局、一万円とちょっとを余らせて、景品を全種類獲得することに成功。 目立ちはしたが、思っていたよりもつまらなかった。 「これ、全部あげるよ」 私は景品の入った袋を差し出して言った。 元から景品が欲しくてやったわけではない。 「え、マジ?」 「まあ、取ったのほとんど疋田だし」 「それもそうか。サンキュー!」 こういうときも、遠慮を知らず、頭の悪い疋田であれば、無駄に時間を使って説得する必要がない。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加